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本があって猫がいる【出久根達郎】
【概要•要約】
古本屋で働いた時の話、飼っている猫や犬の話、言葉について感じることなど、エッセイで短編で読める話が一冊の本にまとまった本です。
☞こんな人におすすめ
・エッセイ、随筆、日常を描いた本が好きな方
・本や猫、犬が好きな方
・いろんな本や言葉について書いてある本を読みたい方
・ノスタルジーを感じたい方
・ちょっとひと休みしたい方
【感想】
久しぶりにエッセイを読んでみたくなったのと、タイトルと表紙の猫が可愛くて手に取ってみました。
最初の方は著者が古本屋で働いた時のエピソードや言葉の意味など、「本」の方に焦点を当てた話が続きます。
若い頃の話はおそらく戦後から少ししたあたりの話で、レコードや昔の映画や本については理解しきれないこともあったのですが、その時代を生きていなくとも、本を読むことでその人の生きていた雰囲気を感じられます。
読んでいて、昭和の空気感、上京したときの街並みや古書店の本の山が目に浮かぶようでした。
また、著者が本や映画、言葉の美しさをとても大事に、愛しているのが感じられて、知らない本や映画でも魅力が伝わりました。
また、言葉については「そういう語源だったのか!」「そういう言葉もあるのか!」と学ぶところが多く、誰かを気遣う優しい言葉も失われつつあるのは少し寂しく感じつつも、自分が使う言葉についてこれからはいつもより少しだけ相手を思い、丁寧にしていきたいなと思いました。
そして、後半は猫や犬の話がたくさん出てきます。
タイトルから猫しか出てこないのかと早合点していたので、犬も出てきて大興奮でした。
私は猫も好きですが、犬も好きです。
どちらも甲乙付け難く可愛いですよね。
少し脱線してしまいましたが、そんな可愛い二匹と夫婦の日常が綴られています。
猫が高く飛び上がる描写、犬とじゃれたり喧嘩をしたりする様子、体調が悪いととても心配する気持ち、食の細くなった子のために好みのエサを探し歩く様子。
どれも優しく、温かく、可愛く、穏やかな日常が丁寧に短いエッセイで書かれています。
思わずくすりとしたり、一緒に心配になったり…。
会ったこともない夫婦と二匹の物語ですが、まるでその家の座敷童にでもなったように、一緒に暮らしたような気持ちで読んでいました。
読み終わった後はほっこりした気持ちになりました。
一つ一つの話が短いので、自分のペースで読めるのもよかったです。
よければ、ぜひ読んでみてください。