素敵な圧迫【呉勝浩】
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【感想】※一部ネタバレを含みます、注意!
初めて手に取る著者様の本で、タイトルに惹かれて手に取っていました。
内容も全く知らずに読んだのですが、不思議、不気味、ホラー、ミステリーのような短編集で、とても面白かったです!
また、文中で使われている日本語が美しく、知らない語彙に出会えてよかったです!
素敵な圧迫
圧迫感を好む女性が理想の圧迫を求めて婚約者のいる男性と体の関係を持つが…というお話です。
サイコスリラーのようなホラーのような話で、主人公の少し逸脱した冷静さ、被虐性がたまらない逸品でした。
ミリオンダラー・レイン
男たちが強盗を企てるお話です。
最初の伏線と最後のオチがかなり好きです!
なんとも言い表し難い、無力感がたまらないです。
論リー・チャップリン
突然10万円を要求し出した息子と気弱な父親の攻防戦です。
こちらは某論破系YouTuberを彷彿させるようなお話で、家庭内にとっては一大事ですが、何だかほんわかしたお話しでした。
実際に息子がこんなこと言い出したら焦りますよね。
パノラマ・マシン
穴のような機械を拾った会社員二人が、その機械を使って並行世界で好き勝手に生きれるようになって…という話です。
最後のオチがそうきたか…!!という予想外の方向で、こちらもかなり面白かったです。
あと、始まり方の穴を拾ったという表現も素敵です。
ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について
ボクシングのお話です。
初めは実在する人物の伝記なのかな?と思って読み進めましたが、終盤にそういうことか…!と分かりました。
Vに捧げる行進
コロナ禍で増えるシャッター商店街にVと書かれた落書きが現れ、翻弄される警察官のお話です。
最後が不吉で世紀末な終わり方をしていて、一体どうなってしまうんだ…?!とドキドキしました。
タイトル買いもなかなかいいですね(^^)
予想以上に面白い本に出会えてよかったです!